「世界のからくり」の中で暮らす人たちを知ろう

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ジーンズの生産

『女工哀歌(エレジー)』(原題『China Blue』)という映画があります。 これは、「世界の工場」と呼ばれる中国の労働現場の現実、そしてグローバリズムや多国籍企業の問題について考えさせられるドキュメンタリー映画です。 ペレド監督は、悪いのは工場の経営者やそれを放置している中国政府だけでなく、一番悪いのはウォルマートやリーバイスのような多国籍企業であり、「グローバリズム」、「グローバリゼーション」というシステムだと言います。そしてそれを許している先進国の我々消費者にも責任があります。そのような状況を変えられるのも消費者です。また、ペレド監督は次のようにも言っています。 消費者は大きな力を持っています。「スエットショップ(労働搾取工場の意味。汗と衣料のsweatをかけている)」の服は買わないことを選択できるのです。例えば、知識を持った消費者が「健康にいい」とオーガニック食品を選び、大きなスーパーマーケットにその棚が設置されるように。この映画に出てきたシステムを作り出しているのは、多国籍企業の小売業者です。彼らは消費者に(収入を)頼っているのですから。  毎日新聞の「商品を買わないことが、労働者の雇用を妨げることにはならないでしょうか?」という質問にペレド監督は次のように答えています。 ドイツでの例ですが、消費者がショップに出向いて「私たちはスエットショップの服はもういらない」とアピールしたことがあります。業者がスエットショップを経ずに作られた服を買う消費者の層がいることに気づき、自前の工場を持って、中国の労働法に沿った環境で商品を提供する。それがファッションのトンドになればいい。値段は少し上がるでしょうが、大した上げ幅ではありません。商品のジーンズ卸値の4ドル中1ドル(を15、6人で頭割りにした金額)が彼女らの収入です。収入を倍にしたとしてもプラス1ドル。さらにいい環境にするためにもう1ドル上げても合計2ドル分多く払うだけです。

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チョコレートなどの生産

 私たちが安く手に入れることのできる商品の一部は、グローバル・サウスにいる児童労働に支えられている。その問題に取り組んでいる団体の1つに「世界の子どもを児童労働から守るNGO ACE(エース)があります。 acejapan.org  この団体は、2014年にノーベル平和賞を受賞されたカイラシュ・サティヤルティさんが呼びかけ、世界103カ国で行われた「児童労働に反対するグローバルマーチ」を日本でも実施するため、1997年に学生5人で設立しました。 インドのコットン生産地とガーナのカカオ生産地で危険な労働から子どもたちを守り、日本で児童労働の問題を伝える啓発活動、政府や企業への提言活動、ネットワークやソーシャルビジネスを通じた児童労働を解決するための活動を行っています。そこでは、児童労働に携わっている当事者の声や、私たちのできることなどが紹介されています。

ゴッドフレッドくん(ガーナ)のケース

アフリカのガーナで暮らすゴッドフレッドくん(15歳)は、7歳でお父さんを亡くし、家族を支えるため9歳からカカオ農園で働きはじめました。 朝5時、誰よりも早く農園に行き、カカオを収穫し、集め、運んだり。カカオは頭に乗せて運びますが、とても重くて、頭から首、背中、腰、脚まで全身が痛くなります。 2010年に来日したゴッドフレッドくんは、カカオ畑で働いていた当時のことを、日本に住むわたしたちに話してくれました。 「まるで強制労働のようでした。しかし、ぼくには家族を支えるために仕事をする以外に他に選択肢がなかったのです。病気になっても、疲れたとか休みたいと思っても、それを口に出すことさえできませんでした。ほかの子どもたちが学校へ通っているのに、自分は働かなければならないことを、とても悲しく思っていました。」